【旧車】マツダ キャロル360 水没でエンジンがかからない(静岡)

ボディーショップ・オギでの旧車の事例をご紹介するページ、今回は【マツダ キャロル360 水没したエンジンの修理】です。

台風で水没

2022年10月、静岡を襲った台風により、車体の半分まで水に浸かってしまったキャロルが入庫しました。
以前、こちらの記事で整備させて頂いた車両で、もう長いことご贔屓頂いているお客様です。

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静岡県からご入庫のマツダ キャロル360の車検整備事例です。いろいろありましたが、無事に車検通りました。ヒーターの取付も…

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静岡県からご入庫のマツダ キャロル360の車検整備事例です。いろいろありましたが、無事に車検通りました。ヒーターの取付も…

キャロル360をとても大切にされているご様子なのですが、今回はそのキャロルが水没で大きなダメージを受けてしまい、エンジンが始動できなくなってしまったそうです。
内部に入り込んだ水とごみを取り除くため、エンジンを分解し、オーバーホールすることになりました。

 

エンジン各所の清掃

まずはとにかく、エンジンを車体から外し、ミッションやギアケースを分解します。
エンジンブロックとヘッドを外してピストンやバルブの汚れを洗浄、オイルパンには色々とたまってしまっているので、こちらもきれいに取り除きます。

オイルパン

ミッション清掃後

バルブは、水没での汚れではないですが、インテークとエキゾースト側ともにカーボンのカスなどが付着して固まってしまっており、クリーナーでは取れないほどの頑固な汚れが付着していたため、ごりごり磨いて削り落としました。(新品のバルブが手に入らなかったので、磨いて再利用です)

バルブ

地の金属部分まで削ってしまうと排気漏れを起こしてしまうので、失敗できません。

バルブ

ヘッドの方もよく掃除します。

カーボンが付着したピストン

きれいになったピストンa

アルミ製ですが、鉄部のサビが回って真っ赤です。

エンジンヘッドサビ

ホースがつながるところ

↓補修跡

補修跡

 

ヘッド

ヘッド

バルブガイドの上側には本来ステムオイルシールがあるはずですが、これはゴム製のためほとんど溶けて形が残っていなたので、当店の製作代用品バルブステムオイルシールをそれぞれのバルブに取り付けました。

バルブガイドを付けたところ

旧車部品販売・取付 BodyShop - OGI

旧車部品各種取り揃え。当店では取付も承ります。こちらはマツダキャロル360のバルブステムオイルシール4個セットの販売ペー…

 

このシールがなかったせいで、オイル下がりが発生し、バルブステムの間からオイルがバルブに付き、長年かけて焼き付いたと考えられます。排気ガスがいつまでも青白く出ている車は、これが原因であることが多いので要確認です。

ヘッドガスケットも代用品に取り替え、各パッキン類も交換、エンジンを組み直します。

https://bodyshop-ogi.shop-pro.jp/?pid=157071080

キャブレターも忘れず分解して掃除します。

キャブレーター掃除中キャブレーター清掃後

セルモーターが動きませんので、こちらも分解して内部を掃除し、ローターブラシ周辺にたまった水を落とし、一通り研磨します。

セルモーター

セルモーター
スターターのコイルも、掃除して磨き、電気が正常に通ることを確認して組み立てます。

クラッチやミッションも外したついでに、各オイルシールやベアリング類のうち、入手できたものは交換しました。
クラッチディスクについてはリビルト品使用です。

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旧車部品各種取り揃え。当店では取付も承ります。こちらはマツダキャロル360のクラッチディスクの販売ページです。…

ギアの入り具合やシンクロギアなども点検しながら、調整していきます。

エンジンを車体に戻したら、始動を確認、最後に点火時期、キャブ調整、タペット調整を行います。
さらに、点火系のバージョンアップとして、セミトラユニットやGTコイルに加え、今回はMSD(昔で言うCDIユニットのような、点火の強さが向上する装置)を取り付けました。

エンジンルーム
これを使用することで、出足の半クラからスタートの瞬間など、少しですが確実にトルクアップが期待でき、2速から3速などのギアチェンジ時のトルクも太くなります。
(このMSDとセミトラのセットはおすすめです)

↓ナットもサビサビなので交換しました。

ナット

 

 

修理完了

お預かりしてから約3週間。
キャロルは再び走れるようになり、無事お客様にお返しする日が来ました。

帰っていくキャロル

数日後、オーナー様から嬉しいお電話を頂きました。2速でしか曲がれなかったコーナーが3速のまま曲がれるようになったり、粘りがよくトルクも強くなったことを感じられるということです。

車という機械が持つ魅力、それはただ単に目に見える部分だけではありません。エンジンの鼓動、足回りの感触、そして何より運転席から感じる全ての変化。それら全てが一つの車、一つの個体として息づいていると感じます。

キャロルの再びの活躍を楽しみに、再会をお待ちしています。

いつもありがとうございます。

 

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