パワステ取付の事例です。
新潟県からのご入庫、スカイラインGC10 改。ハコスカの愛称が有名ですね。
2ドア、ハードトップ白、2800cc+ソレックス、太タイヤ、オーバーフェンダー、フロント・リヤスポイラー付きという装備です。
今回は当初、電動パワステ取付加工のご依頼でした。
しかし、お話を伺っていくうちに、追加でご要望が浮かびあがりまして、色々と行わせて頂く運びとなりました。
パワステの他に…
・キーレス化
・ブレーキの効きが甘いので改善
・フロントシートの交換
・ウィンドウの動きがスムーズでないので改善
などなど。
順番にいきます。
まずは肝心のパワステ装置です。
こちらはいつも通り、現行国産車用のパワステ装置を設置する作業です。
いつも通りとはいえ、設計に無いものを取付けるため、常にそれぞれの車種ごとに創意工夫が要ります…。
(ハンドルを取り外したところ。赤枠部分がパワステモーター)
次にキーレス化です。
これはパワステ取付けのついでにとご依頼されるお客様が多いメニューです。
旧車のキーレス化は好みが分かれる部分です。
今でこそ旧車に少々不便さを感じられる部分もあると思いますが、当時としてはそれが普通の仕様でしたね。
「そういう操作感も旧車らしくて大事だ!」というオーナー様もいれば、「高齢になって扱いが大変になってきたけど、これからも愛車として長く付き合っていきたいので装置を付けて欲しい」というオーナー様もいます。
パワステ取付と同じく、旧車を末長くご愛用頂くという点でお役に立ちそうであれば幸いです。
それぞれのお客様のニーズに合わせる形で、より旧車といい関係が築ける一助となれるよう、ボディーショップ・オギは努めています。
(これはいすゞベレットの写真ですが、こんな感じのリモコンキーです)
さて、ここまでパワステ、キーレス化は現車合わせでの施工で、大きな問題もなく作業が終わりました。
続いて効きの甘いブレーキを整備していきます。
お客様によると、「車間距離をたくさん取らないと、安心して走れない…」
旧車にはマスターバック(ブレーキブースター的な働き)が付いていないものが多いので、強くペダルを踏み込まないとブレーキの効きがイマイチ甘くなってしまうんですね。
どうしても、そのままでは仕方ない部分です。
まず一段目にハコスカ用の準純正仕様の小型のマスターバック。
これにブレーキブースターフロント用を追加し、ダブルブースター仕様にしてみました。
2段構えにしたのはスペース的な問題です。
自動車はフロントブレーキにかかる力が大きくなるものなので、フロントに大きめのブースターがあるとブレーキの効きは良くなります。
ブレーキを踏む力を軽くしつつ、効きも良く保つよう最適化を行いました。
(金色のパーツが追加したマスターバック)
それぞれの作業の隙をみて、シートを乗せ換え…。
ウィンドウの動きについては、レギュレーターがへたってきているようなので交換し、調整して改善です。
更に、ここまでの整備の最中にフロントサスペンションまわりのボールジョイントのガタや劣化が見つかりました。
パワステ化すると据え切りが出来るようになるのが大きなメリットですが、据え切りするとボールジョイントへの負担は大きくなります。
ダメージも入りやすくなりますので、修理を行っています。
本当は新品交換が理想なのですが、旧車の例にもれず、交換品が入手困難のため現物修理です。
全部で5つのボールジョイントと、それぞれの段階でトーイン調整を行いました。
さて、色々と整備、調整を行ったGC10改、新潟よりオーナー様がお迎えに来られました。
ハンドルの軽さ、ブレーキの効き方、キーレスエントリーと、まるで現行車のような使い心地に変わりました。
遠くからのご依頼、誠にありがとうございました。