ボディーショップ・オギでの旧車の事例をご紹介するページ、今回は【三菱 ギャラン ラムダ 】です。
おかげさまでご好評を頂いている電動パワステ取付加工ですが、ベレットや117クーペの事例で使用しているパワステユニットは、使様上オリジナルのステアリングから社外のナルディーかモモに変更する必要があります。
ユニット化によって、お預かり期間の短縮(~数週間くらい)や、料金をなるべく抑えられていますが、それらに目をつぶってもやはり純正のハンドルは譲れない…!という場合もあります。
今回のお客様のリクエストも、「純正のハンドルを付けたままパワステも取付けたい」です。
ギャラン ラムダのハンドルは、下の写真のような一本スポーク。
ラムダを象徴する特徴的なハンドルです。
とは言え、初めての車種&ハンドル温存という二重の難易度の為、まずはお車を拝見することにしました。
そして宮城県から快くご来店されたお客様。遠方よりご足労ありがとうございました…!
ステアリングまわりを拝見したところ、ある程度のスペースが見込めた為、何とかお客様のご要望にお応え出来そうでしたので、そのままお預かりとなりました。
なぜそんなにもスペースが必要か。ベレットや117クーペに使った通常のパワステユニットの場合、電動モーターが入る空間が最低限必要です。今回のように純正のステアリングを使用する場合、さらに追加で変換ユニットが入る空間がないといけません。
幸い、ラムダは117クーペに比べても足元に若干余裕がありました。
ギャランラムダのパワステ取付
現物合わせで調整しつつ、外したり取り付けたりすること4~5日。
試し走行で十分にパワステが機能することを確認します。
モーター類はこのように付きますので、足元のスペースが重要です。
プラスチック製の目隠しカバーを装着して完了です。
純正ハンドルも健在です。
パワステ化と共に、スピードセンサーも設置しました。
旧車部品各種取り揃え。当店では取付も承ります。こちらはいすゞベレットのスピード(車速)センサーの販売ページです。…
ギャランラムダのエンジン整備とウォーターポンプ交換
パワステ取付は終わりましたが、実はご入庫頂いた日にエンジンの不調が判明しておりました。
お客様は「ついでに直してください。他にも不調箇所あったらそちらも」ということで、健康診断状態で各部点検も行っております。
まずは目立つところから。
エンジンまわりのあちこちの装置をコントロールするバキュームホースが経年劣化でバキューム漏れを起こしていました。キャブレーターの正常な吸気に影響を及ぼすため、数十本ホースを交換し、バキューム漏れを修理。
エンジンのかかり具合も改善されました。更に点火タイミング調整やタペット調整など、細かくチューニングを行いました。
続いてウォーターポンプのシャフトのガタが少し気になります。
まだ水漏れするまでには至っていませんが、ウォーターポンプは消耗品である以上、ガタが出てからは時間の問題です。
2000㏄のラムダの純正ウォーターポンプは社外新品・中古も含めて入手困難であった為(運が良ければネットオークションなどにあるかもですが…)、例によって新規に製作することといたしました。
新規製作したウォーターポンプを取り付けた状態↓
採寸から取り付けるまでにかかったのは2週間ほどでした。
製作工程の都合上、今まで付いていたものと形状は異なりますが問題なく取付可能です。
さて、ウォーターポンプが新しくなりましたが、せっかくなのでオーバーヒート予防に念を入れて電動ファンも取り付けます。
ウォーターポンプ自体もプロペラで扇いではいます。ただ、その回転速度はエンジンの状態に依存するので、アイドリング時などはゆっくりとしかプロペラが回転しません。
ラムダに限らず、今では旧車と呼ばれる車の生産されていた数十年前と比較すると、近年は夏の暑さがかなり厳しくなっています。都市部などではヒートアイランド現象によって更に顕著になります。
当時は十分だった仕様でも、今の交通量が増えて渋滞した道路で猛暑日にエンジンかけっぱなし…などと想像すると、そのままではちょっと心配ですね。
ウォーターポンプを交換するためにラジエーターの水を抜いていますが、
サーモスタットも水を抜かないと交換出来ないものの一つであり、変えそうで変えない…になりがちな消耗品ですので、同時に交換しておきます。
プラグコード類も交換、それと実はキャブレーターを始めとしたパーツをひとつずつ研磨し、途中途中でクリーニングも行っていますよ。
整備完了
すべて完了し、ラムダは宮城県へ帰ってゆきました。
お客様にお引き渡しした後日ご連絡を頂きまして、ハンドリングの軽さ、エンジンの調子改善も実感頂けたようでした。
こちらのラムダはお客様にとって非常に思い入れがある特別な車両と伺っておりましたので、お役に立てて何よりです。
ぜひこれからも末永く共に走って頂きたいです。
ありがとうございました。