ボディーショップ・オギでの旧車の事例をご紹介するページ、今回は【P312 ブルーバード】です。
発電様式の変更
昭和38年式P312型ブルーバードのダイナモ発電式から現代式のオルタネーター発電式に交換しました。
交換を行った理由は三つ。
一つ目の理由は、この当時の日産車に多く採用されていた様式として、+アース側が車体ボディに回る方式であったためです。現行車は逆になっています。
使用には差し支えありませんが、故障た場合には交換部品の入手が困難です。現代型の部品に変更しておくことで、安心して車を使用できます。
当時のブルーバードの発電機は、ボルテージレギュレーターという発電量を安定させる部品が付いていました。しかしこのレギュレーターはアナログ式で、リレー時などの接点焼けが起こることがあり、消耗品となっています。また、ダイナモにはベアリングやブラシなど、部品の入手が困難なものもあります。昔は電装屋さんが旋盤機で同じ大きさのブラシを作ってくれたこともあったようですが、今ではそのような技術を持つ職人さんも少なくなっています。
現代のオルタネーター式発電機は、このレギュレーター部分がIC式になり(無接点)発電を制御しています。接点部がないので、故障しにくく、また発電機が内臓式であるためコンパクトです。
もう一つの理由として、発電容量の違いがあります。
昔の車の発電量は30A前後なのに対し、現代のオルタネーターは小型のもの(軽自動車に採用)でも50A以上出力することができます。
当時は、今ほど道路に信号が多くなく、渋滞も少なかったため、一定の速度で走行し続ける場合、発電量は十分でした。
しかし、現代の道路状況を考慮すると、低速からの発電量がより効率的であり、安全な運転をするためにも、現代型の部品に付け替えることが望ましいと思います。
最後に、ーアース式にすることで、今後LEDヘッドランプやカーステレオ、カーナビ等の電装品の取り付け時には逆配線加工を行う必要がなくなります。現在の車はーアースが基本な上、LEDの電装品はプラスマイナスの向きが決まっています。電球はプラスとマイナスを反対にしても点灯しますが、LEDは向きを間違えると点灯しません。
↑オルタネーター(取り外したもの)
実際の作業の流れ
まず、取り付けステーの交換加工をオルタネーターのサイズに合わせて作らなければいけません。
Vベルトとの幅や距離を合わせながら、現物合わせにて取り付け加工していきます。
そのあとは、配線の加工です。IGイグニッションからの電源配線、メーター内への配線、メーター内のチャージランプへの配線を行いました。その後、フューエルポンプが電磁式だったため、後付けの電流計とボルトメーターを配線も加工し、そのほかヒーターモーターやウォッシャーモーターなどもプラスマイナスを逆につなぎ直しました。
これで、セミトランジスタユニットも取り付けられるようになり、点火系もステップアップしていけるようになりました。CDI点火装置も追加で取り付けています。
今回の作業は一旦ここまでですが、次には追加で装備品を取り付ける予定です。
そのほかの作業
今回、エアクリーナーの上部にもメッキ塗装を施し、水色からメッキシルバーに変更しました。
なお、この車のエンジンルーム左側には、マスターばっくの後付け用のユニットが取り付けられています。この装置は電源は必要なく、エンジンの負圧(バキューム)力を利用してブレーキペダルを踏んだ時の力が軽くなるようになっています。
以上で、今回の記事は終わりです。お読みいただき、ありがとうございました。