バナナオートでの車の修理の事例をご紹介するページ、今回は【トヨタ プログレ】です。
タイミングベルトの役割、交換しないと起こること
タイミングベルトの交換の時期ということでご来店のお客様です。タイミングベルトとは、エンジンの駆動に不可欠な帯状の丈夫なゴム製の部品です。
クランクシャフトの動力をカムシャフトに伝えることで点火のタイミングを適切に保つ働きをし、エンジン駆動時は常に回転しています。エンジンという高温の環境で動き続けるために、しなやかで強靭なワイヤー入りのゴムで出来ています。そのため非常に耐久性に富んでいるとはいえ、大きな負荷がかかるため摩耗は徐々に進行し、ゴムの性質として時間の経過で硬くもろくなっていくことも避けられません。
タイミングベルトの劣化を放置すると、ある日突然切れてしまい、エンジンにひどく損傷を与えた上で走行不能に陥ってしまう可能性が高いです。
タイミングベルトの国産車メーカー推奨交換年数はおおよそ10年、走行距離ですと10万kmです。エンジンのメンテナンス状態、峠や悪路を走ることが多いなどの使用環境によっても左右されますが、一般的にはこのくらいが適当とされています。
エンジンが損傷し、本体ごと交換となると修理費用は跳ね上がり、時間もかかってしまいますので、適切な期間ごとの交換がおすすめです。
帯状のゴムがタイミングベルト↓
上の写真は、プログレのタイミングベルトを写したものですが、すぐ左下に写っている銀色をしたプリンの形をした部品がウォーターポンプです。
ウオーターポンプも消耗品ですから、こちらもいつか交換する必要があります。
しかし、ご覧の通りエンジン周りはかなり入り組んでおり、ウォーターポンプを外すためにはエンジン周りに隙間を作る必要があります。外側はバンパーやボンネット、内部はラジエーターやコンデンサー、ファン、タイミングベルトを始めとした部品を色々と取り外さなければならないこともある為、大工事になります。
(写真ではわかりにくいですが、こちらのプログレの場合はラジエーターを外してある状態です。)
ウォーターポンプとタイミングベルト、それぞれ別で交換すると、付けたり外したりの手間がダブルで発生してしまい、更に工賃もダブルになってしまいます。
ご来店の手間も一度で済み、タイミングベルトの交換の時にウォーターポンプを交換しても時期尚早ということはないので、バナナオートでは同時の交換を推奨させて頂いています。
タイミングベルトとウォーターポンプの交換
プログレから古いタイミングベルトとウォーターポンプを取り外していきます。写真はベルトとウォーターポンプが外れた状態です。他にもいくつも部品を外しました。
少し脱線しますが、写真中央下にピンク色の液体が写っていますが、これが冷却水、ロングライフクーラント(LLCとも呼ばれます)です。
ラジエーターを外すために冷却水を抜きました。
色は車種によってピンクだったり、ブルーだったりします。冷却水というだけあって、走行時の風による気化熱を利用してエンジンを冷ますので、基本的な性質としては水と同じようなものですが、真冬など外気温が低い環境でも凍りにくいという特徴があります。御代田町や軽井沢町のように特に寒い地域では「寒冷地用」のLLCが使われ、こちらは更に低い温度まで液体の状態のままで耐えることが出来ます。
東京など比較的温暖な地域では水を混ぜることもあるようですが、そのまま寒冷地へ行ってしまうとエンジンのオーバーヒートを引き起こしかねないのでご注意ください。
ちなみにLLCには、錆止め・防腐・泡立ちにくいといった特徴もあります。しかしやはりこれらの性能も経年劣化を起こしていきますので、定期的に交換して頂きたいです。
こちらのプログレから抜いたクーラントはきれいなピンク色です。これは、まだほとんど汚れていないということですが、バナナオートでは一度抜いたものは再使用せず、新しいものに入れ替えます。
さて、写真下のホースが付いている方が取り外した古いウォーターポンプ、上が新しいウォーターポンプです。
外したらほこりやゴミが入らないうちにホースの先をテープなどでふさぎます。異物の混入は、交換の意味が無くなってしまうほどの状態を引き起こすので、絶対に避けねばなりません。
修理完了
新しい部品にそれぞれ取り替えたら、整備完了です。
ウォーターポンプもベアリングが劣化してガタが出てくると、隙間から冷却水が漏れてきてしまいます。エンジンを冷やすための水が漏れるとオーバーヒートにつながり大変危険です。
深刻な不調箇所が発生し、事故につながったり修理代がかさんでしまう前に、ぜひ点検・交換にいらして頂きたいと思います。