バナナオートでの車の修理の事例をご紹介するページ、今回は【ダイハツ ミラジーノ】です。
修理前の状態
足回りの点検をしたところ、ディスクブレーキに錆が発生していました。
ディスクブレーキはタイヤと共に回転する円盤を、白刃取りのように両側からパットで挟み込むようにして回転の勢いを削ぎ、ブレーキをかける装置です。
他に普及しているドラムブレーキよりも熱によるフェード現象(摩擦熱により、接触部分のゴムや樹脂が分解し、潤滑材のようになることで摩擦係数が減ること)に強いブレーキです。
写真はディスクブレーキの回転する円盤、ディスクローターです。右側のものはミラジーノから取り外した方ですが、かなり錆びてしまっているように見えますね。
実はブレーキローターはあっという間に錆びやすく、洗車や雨、雪解けの時期には表面が真っ赤に錆びてしまうことも多いです。一見ギョッとしますが、表面が錆びているだけなら走行可能です。
先ほどお伝えしたように、ブレーキローターはパットで挟み込む摩擦によって制動する装置ですから、表面は高速でやすりをかけられているようなもの。取れる時もあっという間なのです。
しかし、そこで削れた鉄粉がローターとパットの間にたまりやすく、目の粗いやすり状態になることがあります。これによりローター表面はレコード状に溝が出来、ブレーキジャダー(ィスクローターに凹凸があるせいで力が偏って伝わり振動が発生、ベアリングなどの周期的な振動に弱い部品にダメージが入ったり、ブレーキをかけたときにガタガタして制動距離が伸びたりすること)を引き起こすことになります。畑道を走った後にブレーキから異音がするようになったという場合も、小石や砂利が同じように挟まっていることが多いです。
長期間駐車したままだったりして深いところまでサビが入り込んでしまっている場合も問題です。表面だけサビが落ちても、サビが侵食して出来た凸凹が残ります。
ディスクローターは滑らかな表面で均等に力が伝わるのが良い状態です。
そしてこちらはブレーキパット。
ディスクブレーキを構成する部品のひとつ、ブレーキパッドは直接ディスクローターを挟み込むため、徐々に摩耗していきます。
左の新品のブレーキパッドに比べると、右側は半分以下に擦り減ってしまっているのが分かりますね。さらに錆の色がついて茶色いです。
ブレーキパッドは摩擦材の部分が約3mm以下になると寿命と言われています。もし土台の部分がむき出しになってしまうと、ディスクローターと干渉しキズを付けてしまいます。鉄の部分まですり減りが達しなくても、あまりに摩擦材が薄くなると、形状を維持できずに剥げてしまいます。
こうなると金属同士の摩擦、つまり急ブレーキをかけたときの電車の車輪と線路のような状態に陥るのですが、車輪にゴムタイヤのついていない電車は制動距離が非常に長くなっていますよね。同じように、金属がむき出しになった車のディスクブレーキも、グリップ力が低下することでブレーキが効かなくなるのです。
事故につながりかねませんので、ブレーキをかけたときに「キーー!」とか「シャリシャリ」という音がしてきたら早めに交換したい部品です。
ディスクブレーキの交換
それでは、ミラジーノのディスクブレーキを交換していきます。
これがタイヤを外した状態です。ディスクローターがミゾミゾしているのがお分かりでしょうか?
新品に交換後。先ほどミゾミゾしていた部分もなめらかな平面ですね。
ディスクブレーキは均等に力がかかることが重要です。
修理完了
交換することで、ブレーキの効きを改善するために、新車と変わらないブレーキフィーリングに近づけることが出来ます。
ディスクブレーキを丸ごと交換しないまでも、ブレーキパットのすり減りすぎにはご注意くださいね。パットを予防的に交換すると工賃も抑えられ、ディスクローターの長持ちにもつながります。
ブレーキを踏むと異音がする、ガタンガタンする、などが気になり始めたらバナナオートにご相談ください。