【農機具修理】ヤンマートラクター プロペラがバラバラになったエアコンブロアーモーターの修理(徳島県から)

徳島県からご依頼をいただきました。トラクターのヒーター/クーラー用ブロアー・モーターの修理です。

今年2025年の夏は、気象庁が統計を取り始めてから最も暑い夏だったそうです。

夏の農作業においても、キャビン付きのトラクターには、もはやエアコンは欠かせないのではないかと思います。

しかし、古いトラクターとなると、エアコンだけ修理しましょう、というのが難しい場合が多いようです。

旧車と同じく、部品が廃盤になりがちで、メーカーなどに修理に出すも、部品が見つからないから買い替えた方がいい、と言われてしまい、

エアコン以外は問題なく使えるので、どうしたものか、とのご相談が多いです。

たしかに、エンジンもミッションも足回りもダメ、などであれば、買い替えるのもやむなしと思われますが、エアコンだけがダメ、となると考えてしまいますね……。

 

今回、はるばる徳島県からご依頼いただいたのも、エアコンの不調のトラクターでした。
エアコン不調の原因はいくつかあり、サーミスタ(温度感知する部品)が故障していたり(こちらは、交換で直ります)、駆動部自体が故障していたりで色々です。

今回はブロアーモーターに問題があるとのことでご相談でした。

ブロアーモーターというのは、エアコンで風を送るファンを回すモーターのことです。冷たい風や温かい風を作っても、これが回らなければ風が出ないので、エアコンそのものが効かなくなってしまいます。いわば風を送り出す心臓のような役目をしている部品です。

このブロアーのフィンが劣化でバラバラになってしまっているそうです。

(お客様からいただいた写真)

純正部品が廃盤になっているため、新品交換ができずお困りとのことで、当ブログをご覧のお客様から今年の春先にご相談をいただきました。

県外のため、トラクター本体ごと持ち込むのは難しい距離でしたので、事前にお話を伺った上で、モーター部だけを外して送っていただきました。

届いたモーターを拝見しますと、プロペラがバラバラなほかに、ブラシの長さやローターの当たり面が荒れている、内部にはホコリやゴミが多くみられるなど、経年相応の状態でした。

 

まずプロペラですが、これは原型をとどめていないですから、代替品を見つけて交換するほかありませんが、全くの互換品は見つかりませんので、近い直径のものを見つけて流用します。

 

同時に、本体の方は掃除を行います。

プロペラを新しくしても、モーター自体が元気でないと意味がありませんから、掃除をしたうえで、動作を見ます。

ゴミやサビを取り、ローターを磨き直し、組み立て直すと、いちおう調子よく回るようにはなったのですが、これからまだ長期の使用に耐えられるかというと……少々怪しいです。

お客様は徳島の方なので、気軽にご入庫などもできない距離であることもあり、古いモーターを続けて使っていくよりも、新しくしてしまった方が長期的に安心できるだろうと判断し、お客さまと相談いたしました。こちらも純正品は廃盤のため、自動車用のモーターを流用します。

プロペラもモーターも、新品が揃ったところで、最後にマウント部分(土台)をつくります。
どちらもそれぞれ別の車の部品ですから、それらをひとかたまりにしてお客さまのトラクターに取り付けるには、専用の土台を一から専用で作る必要があります。

これは少々難題です。トラクター自体は入庫していないため、お客さまから頂く寸法の情報だけが頼みの綱です。本番でちゃんと取り付けられるかどうか、一発勝負になります。

お客さまにその旨をお伝えしたところ、たいへん丁寧に図面を起こして送ってくださいました。普段は写真や採寸情報を頼りにこちらで目見当で合わせていくのですが、こうした図面などがあると非常に助かります。

作業がし易いのはもちろんの事ですが、次に同じ型で困っている方が現れたときに必ず生きてきます。ご協力いただけて本当にありがたいことです。

土台↓

 

この土台とモーター・フィンの一式をお客さまにお送りしまして、ご自身で取り付けていただきました。

 


 

後日、お客さまからお礼のメールをいただきました。許可をいただき、以下に転載させていただきます。

 

先日、修理していただきましたトラクターのエアコンブロワー

おかげさまでその後も調子良く作動しておりますので

報告とお礼のためにメールさせていただきました。

古いトラクターのため、農協でも部品が手に入らず、知り合いの車屋さんを通じ

エアコン専門の業者さんにも探してもらいましたがダメでした。

トラクターを買い替えるとなれば、高額の出費になるため悩んでおりましたが、

御社のおかげで救われました。

こちらから送ったブロワーを参考に、今の市場にあるものを組み合わせ

無い部分は手作りで作っていただきました。

はっきり言って、儲けにもならない仕事だったのではないかと思います。

にもかかわらず、親身になって対応していただきました。

「困っている農家を何とか助けたい」という皆様の思いを感じ涙が出るほど

嬉しく思いました。

本来は旧車専門のショップなので、お客さんの車への思いとか愛着を、常に思いながら

皆様が誇りをもって仕事をしている。そんな職場なのだと感じました。

 

このようなメッセージを頂戴したこと、大変うれしく励みになります。少しでもお役に立てれば幸いです。

この度はご依頼ありがとうございました。

お送りしたモーターユニットが、遠く徳島の畑で、お客様のトラクターの一部として、長らく活躍してくれることを願います。

 

古い型・生産終了の部品でも、諦める前にバナナオートにご一報ください。

 

ヤンマーAF330

メーカーさんに修理を依頼すると、”もう古すぎる型だから”とか、”部品を生産終了しているから”と断られてしまう事例があります。

バナナオートの近隣に多い農家の方でも、ずっと同じ農機具を何年も使用され続けている方は多いです。長年乗り慣れた農作業の相棒として大切に使用されていて、不具合のある箇所さえ修理すればまだまだ活躍できると分かっているのに、ひとつの部品が手に入らないからという理由で丸ごと買い替えざるを得ないというのは非常にもったいないし、残念なことだ、どうにかしてほしいという農家の方の嘆きも存在します。

もしもそういった事態に陥った時は、一度バナナオートまでご相談いただければ幸いです。
今回の事例のように、もう純正では手に入らない部品は、新品交換ではなくリビルトするという手もあります。
型の古さや部品が生産終了などといった理由で他で断られてしまった農機具の修理実績も豊富な当店の整備士が、不具合箇所を拝見致します。(状態によっては修理完了までにに1~2週間ほどお時間を頂く場合がございます)

使い慣れた・まだ使えるものを 手放さなくても良いように、技術と知恵を尽くして対応させて頂きます。

 

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