バナナオートでの農機具修理の事例をご紹介するページ、今回は【イセキ ランドリーダー325】です。
トラクターのエンジンかからない!畑まで出張
バナナオートは周囲を農地に囲まれているのですが、去る5月13日、近くの畑からSOSが届きました。
ISEKIのトラクター(年代物)で畑を耕している最中、一旦エンジンを止めたらかからなくなってしまったそうです。
キーを回しても、カチカチ音がするだけでセルモーター(エンジンを始動させる為のモーター)が回らないんだと…。
トラクターは畑の真ん中で停止しているので、やむを得ませんが現場まで出張点検に行きました(トクベツです)。
このトラクター、実は昨年、セルモーターが完全にダメになり交換修理をしています。型が古いのでイセキからは純正交換部品の提供がなくなっていた為、あちこち探していすゞ製のリビルト部品(最後の1個…)を取り寄せ使用しました。(このトラクターのエンジン自体はいすゞ製で、当時2t~4tクラスに搭載されていたものです。もちろんいすゞにも問い合わせたのですが、既に廃盤)
これで調子が良くなったという経緯があるので、交換したばかりでそうそうセルが故障することはないだろうと思い、原因を一つずつ探っていきます。畑で…。
応急処置で畑から脱出
まず疑うのは大本のバッテリー上がり。テスターで電圧を測ると12V、問題ないです。続いてキーからセルへ来ている電圧を測りましたが、こちらはドロップして12Vに足りていませんでした(12V無いとセルを回せないため)。
とりあえずの原因が分かりました。でもここは畑の中なので、本格的な修理は出来ません。応急的にバッテリーからセルモーターのマグネット部を直接つなぐバイパス手術を行って、取り急ぎセルモーターを始動させることにしました。セルが回るとエンジンも問題なく動くので、セルモーター自体には異常がないことが分かります。
エンジンが動いたのでなんとか工場へトラクターを運んできました。これで細かい修理が出来ます。
旧車にも多い電圧ドロップ現象
今回の原因である『電圧ドロップ問題』ですが、旧車などの年代物の車でもよく起こる、結構なじみ深い(?)現象です。
電圧ドロップ問題は、回路の経年劣化などで引き起こされます。回路の劣化は全体的に進みますので、ピンポイントにここ!と言えるような性質のものではないです。その為、思い切って新たなリレー回路を作ることで電装品に正常に電圧がかかるようにして修理することが多いです。
今回のトラクターも、かなり古い型(昭和)なので配線が劣化していたのだと思われます。同様の方法で修理します。
キーからセルマグネットへ向かう配線が問題なので、ここにリレー回路を作り、セルに正常な12Vの電圧がかかるようにしてみました。
結果、始動は良好に。
修理完了
今回のイセキのトラクターは、修理直後からまた元気に畑を耕し大活躍中ですが、もし「古すぎるからしょうがない」と修理を諦めていたら、買い替える他なくなり、大変もったいないことになっていました。
メーカーが部品の提供を終了してしまった昔の型でも、部品を代用したり、独自に修理したらまだまだ使える農機具は多くありますよ。
お役に立てそうなことがありましたら、お気軽にご相談ください。